勾玉の形(かたち)~獣形(じゅうけい)勾玉について~

古くから魔除けや幸運を運ぶお守りとして使われている勾玉(まがたま)には、様々な『かたち』があるのをご存知ですか?

今回はその中のひとつ糸魚川翡翠で作られた『獣形(じゅうけい)勾玉』をご紹介します。

 

獣形(じゅうけい)勾玉とは

勾玉には『定形勾玉』と呼ばれるCまたはコの字の形をしたものと、『異形勾玉』と呼ばれる不定形な形をしたものが存在します。

今回ご紹介する獣形(じゅうけい)勾玉はこの『異形勾玉』にあたり、獣を連想させるような特徴をもった勾玉です。

一ノ型


たてがみ、背びれのような切れ込みが入っているのが特徴

 

二ノ型


獣の脚のような突起があるのが特徴

 

三ノ型


角が生えたようなかたちをしているのが特徴

 

四ノ型


獣の脚のような突起があり、丸みがないのが特徴

 

古代日本では、獣は人間界と外界をつなぐものという考えがありました。
獣は異界への先導者としても扱われており、獣のかたちを模した勾玉=獣形(じゅうけい)勾玉というのは、勾玉の中でも特別な存在なのかもしれません。

※使用している画像の勾玉は全て糸魚川翡翠です

 

勾玉の歴史

勾玉の歴史はとても古く、約6,000年前の縄文時代には作られていたといわれています。

勾玉の原型となるものは、動物の牙や骨、滑石、貝殻など、比較的やわらかいものを材料にし、紐を通すための穴を開けただけのものでした。しかし、大陸から加工技術が伝わると、翡翠(ひすい・ヒスイ)やめのう、水晶といった硬い石も勾玉の材料として使われるようになりました。

石の産地では盛んに勾玉づくりが行われ、時代とともに勾玉の形はより洗練されたものへと変わっていきました。

さまざまな形の勾玉が遺跡から発掘されますが、その中でも獣形(じゅうけい)勾玉は比較的古い遺跡から出土することが多く、多様な勾玉の中でも古い歴史をもった勾玉だと考えられています。

 

まとめ

古代の勾玉は、装飾品(アクセサリー)として身につけるだけではなく、祈りを捧げる儀式や霊的な石として呪術や祭具にも使われてきました。
そのほか、王や権力者の威信財(いしんざい)として扱われていたり、勾玉づくりが盛んな地域では非常に価値の高い交易品でもありました。

勾玉の『かたち』の由来は諸説あり、

・動物の牙で作った牙玉から発展したとする説
・胎児の形を模したとする説
・月の形を模したとする説
・破損した耳飾り(イヤリング)を再利用したとする説

など、様々な説がありますが、どの説が一番有力なのか、そもそも由来はひとつだけなのか、はっきりとわかっていません。

かたちの由来だけではなく、勾玉にはいまだ多くの謎が残されています。

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